そういえば、この人がミナトを育てた人だという証拠。
ミナトが言っていた特徴。
胸のあたりに大きな傷跡。
「あの、ウィルさん…。ウィルさんって、胸に傷跡なんて…」
「どうして知っているんだい?」
さも当たり前のように答えるウィルさん。
やっぱり!
ウィルさんは、服を少しずらして見せる。
そこには、大きな刀傷が一つ。
「大昔に負った傷でね」
「ウィルさん…。やっぱり、あなたで間違いない」
「え?」
「ミナトなんです。あなたが育てた人の子は、ミナトなの!」
私は叫んでた。
それをミナトが望んでいるかなんて、考えてなかったけど。
知らせたかった。
ウィルさんも、会いたいんじゃないかな。
話をしていてそう感じたんだ。
「え…、ミナト…?本当に…?」
「ミナトから聞いた、育ててくれた悪魔の特徴に、当てはまってるの!」
「え…、本当なのかい?君は、…ミナト、君がミナト…?」
ウィルさんが驚きの表情を見せよろよろと立ち上がる。
ゆっくりとミナトに近づいていく。
ミナトは、瞳を揺らしながら、ウィルさんを見つめていた。
「ああ、…本当だ…。目元があの子と同じだ…ああ…君が、君があの子なんだね…」
ウィルさんは、泣いている。
なにを想い、涙するのか。


