「人間の者が、申し訳ないことをした。なんと詫びたらいいか…」

「君は、ルネス王国の王様だね」

「はい。レンと申します」

「私は、別に責めるつもりはないよ」



ウィルさんはそう言って頷いた。
なんていい人なの。
こんなに傷だらけにされて、それでも怒りもせず赦しちゃうなんて。
心の広い人だわ。



「ウィルさんは器の大きい人っすからねー」

「そうそう、尊敬するぜ!」


ちょっと離れた場所で傷をなめて消毒している悪魔たちが口々にそう言った。
ウィルさんがとても慕われていることがわかる。
慕う気持ち、わかるかも。



「一番驚いたのは、あれっすよね!」

「そうそう!突然人間の子どもを連れてきたとき!ありゃあたまげた!」

「だはは!犬でも拾ってきたかと思えば、人間だもんな!」



私たちの、時が止まったように静まり返る。
今、なんて…?
人間の、子ども?
で、でも、そうとは限らない。
違うかもしれないよね。





誰もが、その言葉に言葉を失っていたその時。



「ミナトさん!出発の準備できましたが、先に戻っていてもいいですか?」





一番隊の一人がミナトに確認を取りに戻ってきた。
ミナトはハッとしたように顔を向けると、「ああ」と声を震わせながら答えた。