「だから、ただいま絶賛口説き落とし中」
「え?」
「毎日甘い言葉で口説いてんの」
リュウならやりそう。
いや、私に対してはものすごく優しいお兄ちゃん的存在なリュウだけど。
初めの頃、すごく身の危険を感じた気がする。
「それは…カノンさん、大変だね」
「そのうち、うんって言わせてみせるよ」
「…うん。頑張って」
きっと、カノンさんだって、本当はリュウと一緒にいたいはず。
片思いだって言っていたカノンさんの気持ちは本当だと思うから。
そこにウソはないはず。
だからね、王妃になる、その不安だけ取り除ければ、きっとリュウについてきてくれるはずだよ。
「カノンさんに、自分がどうしたいかを優先させてって伝えて」
「ん?ああ…。伝えとくけど…。なに、実体験?」
「…そうだね。どっちにしても、多少の後悔ってつきものだと思うんだ」
王妃になったとしても。
ならなかったとしても。
両者両用の後悔があるはず。
どちらの後悔の方を取るか。
王妃と言う重圧を取るか。
リュウの側にいれない、寂しさを取るか。
カノンさんならどっちを選ぶ?


