「まあでも、紗南が戻ってきてよかったよ」
「心配かけてごめんね」
「いや、無事ならいいんだ。まぁたまにはレンと離れて息抜きするのもいいかもな」
リュウは大口を開けて笑いながらそう言った。
「リュウの方はどうなの?カノンさんの事、王妃に迎えたいって言ってたじゃない」
「ああ…」
私の言葉にリュウのトーンが少し低くなる。
あれ?
私、なんか変なこと言ったのかな?
「カノンが、その気にならないんだ」
「え…?どうして?カノンさん、リュウの事…」
「俺の事は好きだけど、やっぱ王妃ってのが引っかかるみてぇでな」
そうか。
なんとなく、わかる気がする。
王妃になって、いろいろなことが変わったことを私は身をもって感じてるから。
カノンさんの気持ち、わかる。
「自分は、そんな器じゃないってさ」
リュウは、少しさびしそうに呟く。
カノンさんと過ごしたあの国が好きで、カノンさんの側にいたくてリュウはきっと王になることを決めたんだろう。
それなのに、当のカノンさんが納得してくれない。
それは、辛いことだろう。
カノンさんといたくて選んだことでもあるんだろから。


