「あー、なんか長々と話したら喉乾いた!紗南ちゃん、おいしい紅茶一緒に飲もう」
「うん。じゃあ、私淹れるね」
「え、俺がするよ」
「ううん。私にさせて」
立ち上がろうとするミナトを制して、私は準備をする。
ミナトは、その様子をニコニコとみていた。
「俺にとって、あの一番隊はさ。なんていうか、家族みたいなもんだったんだ」
「家族?」
熱くなったポットからお湯を注ぎ、紅茶を淹れる。
紅茶のいい薫りが広がる。
「レンが、お父さんで、ソウシがお母さん。んで、リュウが兄貴!」
「ぷっ、な、なにその家族構成」
しかも、なんとなく納得できる。
レンは少し口うるさい頑固なお父さん。
そして、ソウシはおしとやかだけど、実は一番怖くてお父さんを尻に敷いているお母さん。
で、面倒見のいいお兄ちゃんのリュウ。
うんうん。
わかるかも。
「そこに、かわいい妹の紗南ちゃんが加わって」
「え、私妹?」
私、ミナトより年上なんだけど。
「あとから入ったから、妹なの」
「えー、納得いかない」
「いいの!」
私は出来上がった紅茶をミナトの前に差し出しながらふて腐れてみせる。
ミナトがお兄ちゃん。
違うよ、ミナトは私の弟みたいなもんだもん。
「賑やかな家族で、楽しいでしょ?」
「そうだね。賑やかすぎる気がするけど」
それくらいがいいのかもしれない。


