「紗南の笑顔、久しぶりに見た気がするな」

「え…?」




同じことをレンに言われた。
レンも、同じこと考えてたんだ…。
そっか、私も最近笑えてなかったんだね。


これからは、もっと笑おう。
どんなことがあっても、笑っていよう。





「レン、笑って」

「…もう、いい」

「なんで、笑って!ほら!にーって!」

「ほら、帰るぞ」




まったく照れちゃって。
素直じゃないんだから。

でも知ってるよ、そっぽを向いたレンが小さく笑ってること。




レンと二人で歩いていくと、その先にはミナトとソウシが待っていた。




「紗南ちゃん!」

「紗南さん!」





二人は私たちを見つけると駆け出した。
今にも泣きだしそうな顔。
ミナトの呼び方が、紗南ちゃんに戻ってる。




「二人とも…、ありがとう」

「おかえり!」

「おかえりなさい」



私はなんて恵まれているんだろう。
こんなにも、こんなにも、私を思ってくれる人がいて。