「わかったわよ…。道は知ってるから…」
「気を付けて帰れ。レンによろしくな」
「うん…。ありがとう」
ロイドに別れを告げ歩き出す。
この森はいつ来てもやっぱり薄暗い。
生い茂った木々がそうさせるのか、そもそもこの場所がそうなのかわからないけど。
「不気味だなぁ…」
こういった不気味さはやっぱり苦手だ。
悪魔は平気なのに、お化け的なものへの恐怖はなくならない。
自然と足早になる。
早くここから抜け出そうと歩くうち、遠くに人影を見つけた。
だ、誰…?
も、もしかして…。
恐怖に怯えきった私の脳は、なんでもそっちに考えてしまう。
でも、次第にはっきりとしてくるシルエットに、私は違う意味でドキドキし始めていた。
遠くに見える、あの姿は…。
遠くても、わかる。
あれが誰なのか、一目でわかってしまう。
「…レン!」
私は、駆け出した。


