学校に着くと、まだHRは始まっていない。
どうやら間に合ったようだ。

「ふう・・・なんとか遅刻は逃れたね。」

「誰かさんのおかげでな。」

「おはよう!相変わらずラブラブ登校ですな〜お二人!」

教室に入ると、ニヤニヤした顔で声をかけてくる人物。

「ちげえよ、バカ!」

「ななみ、おはよう。」

彼女は湊ななみ。
綾香の親友で、いつも翔、綾香、ななみの3人で行動している。いわゆる『いつめん』というやつだ。

「あ、そうだ!最近、駅前にオシャレなカフェがオープンしたんだってー!綾香の誕生日のお祝いも兼ねて、今日の放課後みんなで行こうよ!」

ななみは 顔が広いため、いろいろな情報を持っている。もちろん噂話なども大好きだ。

「えっ!ありがとう!」

「また太ってもしらねーぞ。」

「そんなこと言って、ちゃあんと綾香へのプレゼント、用意してるくせにー」

「う、うるせーよ」

「おーい、席着けー」

先生の登場により、この話は打ち切られる。

この時の綾香は何も知らなかった。

もう、いつもの日々には戻れないことも。

運命の歯車が、音をたてて回り出してしまったことも・・・。