全ての授業が終わり、誰もが和気藹々と教室を出ていく
俺はと言うと後ろの席の男に取っ捕まえられていた
「時雄~
ずっとシカトするなんて酷いじゃーん」
わざとらしく腰をクネらせるこの男の名前は健二
昔からの幼馴染みだ
「テメェがゴジラにチクるからだろ」
睨み付ける俺の怒りさえ物ともしない健二はニカニカと不愉快な程に笑い、俺の肩をガッシリと掴んだ
「まぁそう怒るなよ、時雄くん
仲良くしよーぜ?」
な?と促す様にまた笑った健二
コイツの明るさは腹正しい事この上ないのだが、何故か疎遠する気にはなれなかった
バカに見えて案外と冷静で、俺のピンチにもいつも駆け付けてくれたからだろう
そして、俺の【秘密】を知る唯一の人間でもある
「おし、ほんじゃちょっくらナンパでもして帰りますか?」
「しねーよ」
お調子者の健二に連れられながら教室を出る
くだらなさ50レベルの話をする健二に呆れながら相槌を打っていると、廊下で一人の男とスレ違った
天パの汚ならしい髪
眉なしの下にある一重の目
そして常に聞こえる咀嚼音
「………」
…相変わらず気持ち悪い野郎だ
目が合うとニヤリと不気味に笑った男に舌打ちをすると、健二もふとその男に視線を移した
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