「オラー!
声出して走れー!」


踵を擦らせながら歩く俺は、学校のグラウンドで必死こいて走る生徒たちをチラ見した

暑さの中、ガムシャラに駆ける生徒の汗は鬱陶しくて反吐が出る

何をそこまで頑張ってんだか

…くだらなさ10


その時、汗だくの生徒の一人が俺に気付いて大きな声を上げた


「とーきーおー!!!」

「………」


おいおい、勘弁してくれよ

ソイツの掛け声を無視して早足に通り過ぎようとするが、その瞬間、俺の耳に耳障りな金属の音が響いた

嫌々横を見てみれば、体育教師が般若の形相でバットを俺の傍のフェンスにぶん投げていた


「良い度胸だな、一刻!!」

「……くだらなさ100」


ボヤいた俺に近付いてきた男は、目くじらを立てながら厳つい腕をガッシリと組む

迫力のあるその体型から、ソイツは生徒から¨ゴジラ¨と呼ばれていた


「…えーと‥」

よりにもよってゴジラの授業に出会すとはな

最悪なまでだ


ポリポリと頭を掻いた俺にゴジラは太い指でグラウンドを指差した


「…外周100」


いや…もうそれ授業終わっちゃうじゃん