Black World

__コツ・コツッ__


立ち尽くす私の元へと、彼女は歩みを運ぶ。


そして、、、


「久しぶり」


笑みを浮かべ、そんなことを口にする。


昔と変わらぬ口調で、彼女は平然と話す。


おかげでこちらがどう接して良いか、わからなくなる。


「部屋にくらい、上げてくれるよね?葵」


私のことを「葵」と呼ぶ彼女は、通称「蘭」。


「蘭子」


「なんで「子」付けてるの?可愛くないじゃん!!」


ふて腐れながら、蘭子は頬を膨らませる。


でも本人は、大して気にしていないだろう。