Black World

「お嬢さん。俺らの世界じゃ、綺麗ごとなんて通じない」


戸田先輩が、私に言う。


綺麗ごと?


私はそんなこと、一言も言っていない。


__ドンッ__


いきなり、戸田先輩が私を壁に押し付ける。


「逃げられないでしょ?男と女の力の差なんてこんなにモンだ」


バカにしたように、戸田先輩は言い放つ。


ふと、昔の嫌な記憶が頭の中に蘇る。


私は幼いの頃から、柔道、空手、合気道をしていた。


その時もよく、男と女は違う。


そう、言われ続けて来た。


だから男に負けないように、一生懸命練習したよ。


「戸田さん。喧嘩売る相手、間違えちゃダメですよ」


成瀬の言葉が言い終わる前に、私は戸田先輩を投げ飛ばした。