嫌でも、朝が来る。


カーテンの隙間から漏れる朝日に、自然とため息が零れ落ちた。


「絢瀬。そろそろ、起きろ」


ドアから顔を覗かせ、千歳が声を掛ける。


「学校まで送ってやるから」

「ありがと」


来陽との関係を聞かれた時、"知り合い"と嘘をついた。


でも昨日の様子を見て、千歳は察しただろう。


私たちの関係が、知り合い程度じゃないと。


それでも気付かないふりをする千歳に、私は救われた。


そして千歳の運転で、学校へと向かう。


お互いに口を開かず、車内には千歳のよく聞いている曲だけが流れた。


「着いたぞ」


学校の近くで車を停めた千歳が声を掛ける。