Black World

「こんな俺は、綾瀬の傍に居たらイケないんだろうな」


独り言のように口にした来陽の言葉に、胸が締め付けられる。


「でも、手放したくない。綾瀬のこと」


＿＿グイッ＿＿


腕を引かれ、来陽に抱き寄せられる。


その力はとても弱々しく、まるで"逃げろ"と言われているような気がした。


そんな来陽の背中に、気付いたら腕を回していた。


間違っていることは、わかっていた。


"ごめんなさい"


だから何度も心の中で謝罪を繰り返しながら、間違った道だとわかっていながら歩みを進めた。