Black World

私が乗ったのを確認すると、男はバイクを走らせる。


この男が誰かも、何を企んでいるのかもわからない。


目的地もわからないまま走り続けるバイクの後ろで、私は浮かんでくる疑問と闘っていた。


走ること、2、30分。


バイクは、高級マンションの前で停まった。


バイクを駐輪場へと置くと、男はマンションの中へと足を踏み入れる。


何となくだが、現在地はわかる。


だから逃げても、ちゃんと帰れるだろう。


だが男の目的を知れていない今、また男が現れないと言う保証はない。


なら目的は、早いうちに知ってた方がいい。


そう思い、私は男の後に続いた。


男は、とある部屋の中へと入っていく。