Black World

「お前でも、そんな顔すんだな」

「どういう意味」


恥ずかしさを隠すために、可愛げのない言葉を吐く。


バクバクッと、胸は高鳴る。


「女みたいだなって」

「生まれてから、ずっと女だし」

「知ってる」


そう言って、成瀬は愉しそうに笑う。


「揶揄ってるでしょ。もういい。忘れるから」


少しだけ期待していた自分に呆れ、成瀬から顔を背ける。


そんな私の両頬に両手を添え、成瀬は再び自分の方を向かせる。


「勝手に忘れんな」


そう言うと、成瀬と唇が重なる。


突然のことに、今の状況が飲み込めない。


今、私、、、


成瀬とキスした?


驚きのあまり、目を丸くする。