Black World

「世界中が絢瀬を否定したとして、それで絢瀬も自分を信じられなくなっても」

「なっても?」

「俺は、絢瀬の味方だから」


その言葉が、どれだけ心強かったか?


きっと生涯、成瀬が知ることはないだろう。


「だから柄にもなく、悲撃のヒロインなんか演じんなよ」

「何、それ」

「俺が好きなった女は、そんな女じゃない」


、、、うん?


成瀬、今なんて言った?


私の聞き間違い?


パチパチと無駄に瞬きをしていると、成瀬と目が合う。


「成瀬。私のこと、好きなの?」


自分で言っておきながら、今更恥ずかしくなる。


「さぁな」


成瀬は、スカしたように鼻で笑う。