Black World

私は臆病者で、卑怯者だ。


そんなことを思っていると、黒虎の場所に着いてしまった。


目の前には、あの人がいる。


私の視線は、あの人へと釘付けになる。


でも、あの人の瞳に私はいない。


これっぽっちも、興味すらないのだろう。


わかっていたのに、胸が痛む。


その痛みから目を逸らすために、気付かれないようにため息を漏らす。


「何すっか?わざわざ、黒龍のシマに乗り込んで来て」


成瀬は顔色1つ変えず、黒虎に尋ねる。


「お前は、どっちの味方だ」

「黒虎か?黒龍か?ってことか。なら、どちらでもねぇっすけど」


成瀬は、興味がない。とでも言うように、答える。