家に向かって歩きながら、私は今日のことを思い出す。
……っていっても、大したことしてないような気がするけど。二時間近く寝ちゃったし。
郁子さんとは話したりしたし、栄太君は懐いてくれてたし……
あ、今度はちゃんと栄太君遊んだりしたいな。今日は添い寝だけだったし。
慶太君とだけは……何もできなかったな。
どうしても慶太君は、私と仲良くしてくれるつもりはないらしい。
ホント、私、何かしたっけ。
……してない、よね。
そもそも、ちゃんとした会話したことないもん。
最初はいいよ。百歩譲って人見知りってことだとして。
だけど、心を開くどころか、すっごい閉鎖的になってるし。
話かけても無視するし。私の鼻の先でドア閉めるし。
これは流石に意図的なものでしょ。
なんでそんなに嫌われないといけないわけ?
警戒っていうのとはまた違うだろうし。
私が作ったもの食べてくれてる時は、あんなに可愛らしいというか、子供らしいのになぁ。
……こうなったら、意地でも打ち解けてやる。
ていうか、慶太君に、負けたって思わせてやるんだから!
何だか趣旨を間違えているような気がしないでもないけど、私は新たにそう決めて、次のための作戦(?)を練っていた。