それから少しして、「ガチャ」と玄関と戸が開く音がした。
私ははっと反応してもたれていた壁から離れた。
ばたばたと走ってくるような足音が聞こえて、すぐそこに近付いてくる。
私はすぐにふりかえった。
……だけど、そこには誰もいない。
……何? 今確かにドアの音したし、足音だって……
私が不思議に思っていると、すぐ隣の門が、ひとりでに開いた。
……え!?
突然の怪奇現象に、私の心臓は跳ね上がる。
何!? 何なの!?
警戒し、様子を窺うと、開いた門の向こうから、男の子が出てきた。
幼稚園児ぐらいだろうか。その子は小柄で、身長がこの家の門よりも低いくらいだった。
そうか。そういうことか。
多分、さっき玄関から出てきたのはこの男の子だったんだ。
私は誠司さんが出てくると思ってたから少し視線を高めにしてて、それもあってこの子が視線に入らなかったんだ。
と、ほっとしたのも束の間、今度は当たり前であり今更な疑問が浮かぶ。
この子、誰?
誠司さんの実家から出てきたってことは、誠司さんの甥っ子とか……親戚の子ってこと?
何でこのタイミングで出てくんの?
頭の中に「?」マークがたくさん浮かんくる。
そんな私の目の前の子は、私に気付いたようで、じっと見ている私と目が会う。
そして不思議そうに私を見ている。
私は怪しまれないように、ニコッと笑顔を作って笑いかけてみる。
すると、逆に怪しまれたのか、その子は体の半分を門で隠し、片方の目で私のことをじっと見てくる。
ちょっとちょっと!
私、思いっきり不審人物扱いされてんじゃないの!?


