……もしかして、栄太君は、栄太君のお母さんを私に重ねてるのかな。
女の人の胸を触っているのはきっとそういう行動の表れだって誠司さんも言ってたし。
別にただ、それだけだよね……
何だか考えているうちに、眠くなってきた。
考えることも尽きてきたし……
それに、ここ、日当たり抜群だな。
六月の晴れ間の日差しが、障子越しに丁度よくなって、部屋の中に入ってくる。
だから栄太君の昼寝で使ってるのか。
栄太君の寝顔を見ていると、自然と瞼が重くなってきて……
私の記憶は一瞬で飛んでいってしまった。
何かが、私の顔に触れていた。
「――……」
何か、楽しそうな声もするなぁ。
ペチペチ
……ていうか、ちょっと痛いんですけど。
ほっぺたやおでこを容赦なく叩かれてるみたいだ。
「うぅ~あぁ~」
ペチペチ
だんだん、声が近くなって聞こえる。
私はうっすらと目を開けた。
最初に目に入ったのは、ぼんやりとオレンジ色に染まった障子。
「ばあ」
その視界に、栄太君のアップが映りこむ。
まだ頭の回転がちゃんとしてないからか、驚くことはなくて、ああ可愛いな、と、ぼんやりと思った。
そこでじっと栄太君と見つめ合っているうちに、私の意識がはっきりしてきた。
……って、寝ちゃった、私!
体を勢いよく起こすと、タオルケットがお腹のあたりに落ちた。
大判のタオルケット……きっと郁子さんが掛けてくれたんだ。
今何時!?
部屋の時計を見ると、もう六時を過ぎていた。
郁子さんたちは100%帰ってきてる。
やっばっ!
慌てて立ち上がって部屋をでようとしたら、片足でタオルケットを踏んで、そのせいでもう片足を引っ掛けた。
そのまま、私は体を畳の上にすっころんだ。
いったぁ……
もう、最悪。


