和室の衾を閉められて、少しして、玄関が開く音、鍵がかかる音がした。
すると突然静かになる。
……留守番を任されたはいいものの、することなくない?
誰も居なくなったことで束の間緊張することもなくなり、私はそれに気付いた。
この部屋は、普段は客間としてでも使われているんだろうか。あまりテレビだとか、生活日常品は見当たらない。
テレビはあっても見られないけどさ。栄太君寝てるし。
でも、あまりにも何も無さ過ぎて、どうしようもない。
携帯ぐらいあれば、この体勢でも時間は潰せたかもしれないけど……携帯が入った鞄はリビングだ。
栄太君抱えて取りに行っちゃおうか。
あ、でも起きちゃったらなぁ。
一人で留守番してる時に、あと一時間くらい郁子さんは帰って来ないのに起きてる栄太くんの子守はつらいぞ、絶対。
郁子さんが帰ってくるまで、どうにか眠っててもらわないと。
栄太君を見ると、今のところは全く起きる気配はない。
よく寝てるなぁ。
私にぴったりくっついて、無防備に寝ている。
可愛いなぁ……
でも、どうしてこんなに私に懐いてくれるんだろう。
ふとそんな疑問が浮かぶ。
慶太君が私をあそこまで嫌ってる風なのも不思議だけど……でも逆に栄太君が私に懐いてくれるのもよく分からない。
慶太君は……何だかんだでまだ会ったの三回目だし、人見知りでも納得できるけど。
でも、栄太君は、誠司さんが言うには人見知りするらしいし、誠司さん自身も驚いてたし。
その時、いきなり栄太君の手がビクンッと動いた。
私はそれにビックリしたけど、どうやら栄太君はちゃんと寝てるらしい。
目一杯手を開いて、私の胸をベタベタと触っている。そして落ち着いたようにまた寝息をたてて大人しく寝ている。


