彼と私と秘密の欠片


……よし。

郁子さんが玄関に行って、私は栄太君を見遣った。

栄太君は仰向けになったまま手足をバタバタしている。


「栄太君、おむつ替えようねー」

私は笑顔を作って栄太君の目の前まで行く。


自分で言っておきながら、ちょっと不安だったりする。


従姉が子供を連れて何度か遊びに来た時に、数回替えたことがあるのは本当。

やり方は分かってるつもりだけど、一年以上前のことだから、できるかな。


まあ、大丈夫だよね!


栄太君のオムツとかが入ったエコバックを傍らに置いて、新しいオムツを取り出そうとした。

その時、オムツのパッケージに書いてある文字を見て、私は固まった。


☆男の子用


……あ、そういえば、栄太君、男の子なんだ。


今更のようにそのことを思い出して、私は少し不安になった。


従姉の子供は女の子。

だから、私は女の子のオムツしか替えたことがない。


……まあ、大丈夫だよね!

『ついてる』か『ついてない』かの違いだし!

それに、赤ちゃんのなんだから、変に意識した方がいやらしいし!


無理矢理そう思って、私は新しいオムツをつかみ出した。


栄太君の服の足と股の部分を外して、下半身をオムツだけにする。


そうすると、栄太君は足をバタバタと動かす。


「あー。ちょっと大人しくしててねー」

軽く足を押さえながら、私はオムツのマジックテープを剥がした。


下だけすっぽんぽんの状態にして、栄太君の足を持ち上げる。

そして、足や股の部分を拭いていく。


そして、悲劇は次の瞬間に起きた。


ちゃんときれいにするために、栄太くんの……オトコノコの印の部分に触れた。

もしかしたら、やり方が悪かったのかもしれない。



「ごめんねぇ、雛子ちゃん。回覧板が回ってきてちょっと話し込んじゃ……」


「ぎゃーーーーーー!!」


郁子さんの声なんて、どこか遠くへ飛んでいった。