「誠司さーん」

待ち合わせ場所から誠司さんが見えると、私は手を振った。

誠司さんも小さく手を挙げて応えてくれた。


「ごめんね。待った?」


「ううん。全然。でも早く行かないとお店混んじゃうかも」


「うん、行こうか」


そうして私達は歩き出す。

今日は、誠司さんとランチの約束をしていた。


あれから……私が誠司さんに、誠司さんのことを好きでいると決めた日から。

私は今までと変わらず誠司さんに接していた。


メールをしたり、電話をしたり、今日みたいにランチをしようと言ったり。

勿論、子供がいるという事情を知ったから、時間帯を考えて控えめにしてる(つもり)だけど。


初めは、誠司さんも戸惑っていた。

どうしたらという感じだったけど、ちょっとしたら、いつも通りに接してくれるようになった。

誠司さんがどう思ってなのかは分からないけど、とにかくそれなら好都合。


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