実家ってことは、当然、誠司さんの両親がいたりするってことだよね。
付き合っても居ないのに紹介されるってこと?
でも、今までだって断られてたんだから、紹介される意味がないし。
色々考えを巡らせて、私ははっとする。
まさか……私のこと、誠司さんにしつこく付きまとってるから何とかしてくれって両親に話すんじゃ……
何それ? それってかなりヤバイじゃん。
ていうか、もしそうなら、誠司さんってかなりのファミコン(ファミリーコンプレックス。そんな言葉あるのか知らないけど)なの!?
「……雛ちゃん」
「はい!?」
とんでもないことを考えていたところで話しかけられて、私は思わず肩を震わせて驚いてしまった。
「本当に、ごめんね。はっきりしないで……」
誠司さんは真剣な顔をしていた。
「今、口で説明することも勿論出来るんだけど……百聞は一見に如かずっていうし、俺なりに考えて、こうした方が分かって貰えるんじゃないかって思っだんだ」
百聞は一見に如かず……
どういう意味?
いや、勿論言葉としての意味は知ってるけど……
でも、今この状況の時に、なんでその言葉が出てくるのか。
言うより見るほうが早いってことでしょ?
えっと……確か今から誠司さんがどうして私と付き合えないのかを話してくれるはず、だよね?
それが言うより見るほうが早くて、今から誠司さんの実家に行くってことは……
やっぱり、誠司さんの実家に何か事情があるってこと?
一生懸命考えて、そういう結果に至った。
でも、それ以上のことは、私の頭では想像できない。
想像できないと、なんだか不安だ。
一体どんな理由で今まで私は断られ続けていて、そして今から断られるんだろう。
……ダメダメ! そんな弱気になったら!
どんなことにせよ、本当のことなんだから、私はちゃんと受け止める。
何も分からないうちから勝手に想像しちゃだめだよね。
不安になったって、今からはどうにもならないわけだし。
私は何も考えないように必死に心がけながら、誠司さんの後についていった。


