誠司さんは、答えにつまっているようだった。


そりゃそうだろう。

一昨日は、振られることを覚悟しとく、みたいな感じで話が進んでたから。

今になってこんなことを言って、驚いたんだ。


「……それって」

迷った表情で誠司さんは口を開いた。


「俺が雛ちゃんを傷つけるってことになるって分かってる?」

誠司さんの目は真剣だった。


「そんなの思ってないよ。これは私の本当の気持ちだもん。だから、誠司さんも、私を傷つけてるなんて思わないで」


これは、私のわがままだから。


誠司さんには私が強く言っているように見えるかもしれない。


でも、違う。

私には、勇気がなかっただけ。


この恋を捨てる……諦める勇気は、私にはなかった。ただ、それだけ。


「心配しないで! 誠司さんは、今まで通りにしてくれればいいから。私も、いつもどおりの誠司さんが好きだから」



この想いが消えるまで、私の恋は、終わらない。