午後八時。
そろそろ誠司さんが出てくるはず。
誠司さんは、私に本当のことを話してくれると言った後、今すぐには時間もないし、無理だと言った。
だから、誠司さんの仕事が終わってからでよかったら、会って話そう、と言われた。
どうしてかは分からないけど、私には拒むことはできない。
私が、誠司さんにけしかけるようなことを言ったのだから。
それにしても、緊張する。
誠司さんは何を言うのだろう。
私と付き合えない理由を言うだけなのに、昼間のあの場で言えないなんて、よっぽどのことなのだろうか。
どんなことかなんて、私の頭では全く想像できない。
でも……何にしても、私はこれからちゃんと振られるってことなんだ。
そう思うと、少し怖くもある。
自分から誠司さんに『突き放すならちゃんと突き放して』っていっておきながら、本当に勝手だと思う。
だけど、いざとなったら不安になってしまう。
……ううん。
今から誠司さんに聞くのは、私が振られる理由じゃない。
誠司さんの本当の気持ちだ。
それに、私にとっても、今までの状態から抜け出すきっかけになるんだから。
だから、ちゃんと向き合わないと。
自分で自分に言い聞かせて、私は改めて気合を入れた。