ぷきゅう~……
私の右隣から妙に高くて、何だか懐かしいような音がした。
見てみると、栄太君が犬のぬいぐるみで遊んでいる。
押したら音がさっきの音が出る、私も小さい頃に持っていたようなものだ。
栄太君は小さな手で一生懸命音を鳴らそうとしてるのか、両手で押している。
犬を押しつぶされて変形して、可哀相な状態になってるけど。
でも、その一生懸命さが可愛かった。
じっと栄太君を見ていると、栄太君の顔がこっちに向いた。
私は笑顔を作ってみる。
……これでさっきの慶太君みたいな反応されたらどうしよう。
少し不安に思ったけど、栄太君は大丈夫だった。
「あうあっ」
声をあげて、栄太君は私にぬいぐるみを差し出してくる。
「ん? 何? くれるの?」
「うー」
通じてるのか通じてないのか(多分通じてないんだろうけど)栄太君は更に腕を目一杯伸ばして私にぬいぐるみを近づける。
試しに受け取ってみる。
でも、栄太君は特に反応は見せない。
「ありがとう」
私はそう言って、栄太君の目の前でぷきゅぷきゅと二回音を鳴らした。
すると栄太君は反応して、私に渡してくれたはずのぬいぐるみに手を伸ばす。
ぬいぐるみを返してあげると、栄太君はまたぬいぐるみに夢中になって遊びだした。
……可愛い。
栄太君にきゅーんと胸が締め付けられた。
正直わけ分からなかったけど。
何したかったの? って感じだけど。
栄太君の動きの一つ一つが可愛らしい。
やっぱり赤ちゃんっていいな。


