「何か、この前といってること正反対じゃない?」


「まあね。でも、やっぱり私がなりたいものっていうか、望んでることっていったら、それだから」


「ふうん……ま、いいんじゃない? せいぜいがんばったら?」

南らしい励ましの言葉、

でも……


「ねえ。今、欠伸しながら言わなかった?」


『がんばったら?』の辺りがちょっと不明瞭に聞こえた。

電話だからといって、気を抜いたに違いない。


「生理現象には勝てないでしょ。ちゃんと心の底からの言葉なんだから、いいでしょ」

そう言いながらきっとまた欠伸をした。


何か色々言ってやりたいけど、今日は寝起きに電話した私が悪いんだし。

ちっとも悪びれない南もどうなのって正直思うけど。


まあ、そんなことを気にしてたらきりないよね。


「でも頑張るのはいいけど、色々考えて行動しないとね」

急に南はちゃんとした口調になった。


「え? なに」

そのギャップについていけずに、私は間抜けに聞き返した。


「ただ思うままに突っ走ってもダメでしょって話。雛子と誠司さんだけの問題ならともかく、子供のことだって、誠司さんの実家のことだってあるんでしょ? 下手したら一つの家庭をめちゃくちゃにして終わるってこともありうるからね」

なんだか、いきなりいつもの南節が炸裂って感じ。


「……そんな怖い言い方しないでよ」


「でも、十分考えられることでしょ」


「そりゃそうだけど……」


私がしようとしていることは、もしかしたらいけないことなのかもしれない。

もしも誠司さんとの間に何かあったとして、周りを巻き込む可能性がある。


特に、子供達を一番巻き込んでしまうだろう。


「でも、だからこそ、子供達から仲良くなろうとしてるんじゃん」