「よいっしょ!」
私は、背中の慶太君を持ち直した。
自然と声が出てしまう。
眠ってしまった慶太君を負ぶって、私は誠司さんの実家に向かっていた。
このことは郁子さんにも伝えてある。
それはいいんだけど……
重い。
前に栄太君を抱いてるときにも思ったけど、寝てる子供って、どうしてこんなに重いの。
慶太君を負ぶってる上に荷物を持たないといけなくて、しかもその荷物が私のだけじゃなくて慶太君のグローブとボールもあって。
その上、暑い。
夕方四時とはいえ、もう大分日が長くなってまだ暑い。
それで背中に密着する慶太君を負ぶって歩くのはかなり重労働だ。
……ていうか、この子。よく寝てられるな。
ちらっと後ろに目をやると、あたしの背中にぴったりくっついてる慶太君の頭が見えた。
ゆっくりと気持ち良さそうな寝息も聞こえる。
……ま、いっか。
今日は、慶太君の楽しそうな顔を見ることができたから
あんなに私のことを嫌っていた慶太君が、本当の顔を見せてくれたような気がするから。
だから、今日は悪いことばっかりじゃなかったかな。


