「雪・・・」

そっと雪の手を握り

「なあ、雪、来週は俺たちの結婚式なんだぞなにやってんだよ・・・」

外は粉雪が舞い始めていて

「雪・・お願いだから目をあけてくれよ」

涙が次から次に溢れてきて

それから雪が目を覚ましたのは一週間後、結婚式予定日だった

「日村先生!雪さんの意識が戻りましたよ」

その言葉を婦長から聞いてなんの返事もしないまま雪の元へ走り出していた

「雪!」

「・・・先生ですか?」

「え?」

「私の担当の先生ですか?」

「なにいってんだよ!冗談はやめろよ」

「・・・・?」

「裕君、ちょっと!」

「お母さん?」

「あの子、記憶喪失らしいの、どうも裕君と出会ったあたりからの記憶が無くなってしまって・・・」

「・・・・え?」

「一時的なものかもしれないし、もしかしたらもうずっと戻らないかもって」

「そんな・・・そんなことって」

「それにあの子はもう・・・・」

「もう?」

「もう歩けないの・・・」