俺は、気まずそうにしている暁くんを見ると…
暁くんは、うつむいたまま…
「ごめんなさい…言えません…」
小さく言った。
「…本当に暁くんが…『紅い鴉』なの…?」
「はい…」
暁くんが、嘘をつくようには思えない。
だけど…
「倉庫であったときの暁くん…
なんか、いつもの暁くんじゃなかったよね…?」
俺を殺そうとしていたし…
今は、俺を殺そうとしている風には見えないけど…
「すみません…覚えてません…」
「えっ…!?」
覚えてないって…
あれを覚えてないの…!?
「暁くんは、二重人格なんですよ。
殺すときは、別の暁くんが出てくるんです。」
二重人格…?
確かに、それなら納得がいく…
あの時の暁くんと今の暁は、雰囲気が違いすぎる…
「その、お腹と首…
僕が、やったんですか…?」
暁くんは、俺の首を見て悲しい表情を浮かべた。
「あぁ、大したことないから大丈夫だよ。」
腹の方は、痛いけどね…
「ごめんなさい…
僕、人を殺すときは性格が替わるみたいで…
覚えてないんです…本当にごめんなさい…」
暁くんは、深く頭を下げてきた。
「いいよ、謝らなくて!
でも、人を殺すのは、もうやめてくれ。
簡単に奪っていい、命なんてないんだから。」
殺すのは、もうやめて欲しい…
命を奪うなんて、やってはいけない。



