「うん。違うね…
三年後には、暁くんはあんな顔も出来るようになるんだね…
よかった…
父さんがなんとかしてくれたんだね…」
「………………」
まだだったんだな…
こいつの記憶の中には…
あのときのことは、ないんだな…
言わない方がいいのかもしれないな…
少なくとも今の翔 ( 21 ) よりは、悩まずにすむからな…
「……………俺、帰るよ。
家飛び出してきたから、兄さん心配してると思うし…」
翔は、俺の腕を離してベットから下りた。
帰る……?
翔は、あの人のとこに戻るのか……?
そんなの…
「駄目だ」
「えっ…?」
翔は、分かっていない。
今のお前には、記憶がないから…
あの人が、どういうことをしてお前を傷つけたのか知らないんだ。
「悠真……?」
もし、翔を今離したら…
一生、会えないような気がする…
俺や暁くんたちは、お前がいないと駄目なんだよ…



