「ね…?帰ろう…」
俺は、暁くんの腕を掴んだまま荷物を持って事務所に向かった。
暁くんは、大人しく俺に引っ張られていた。
そのまま俺らは、何も会話せずに事務所に戻った。
「うぇー!?どうしたのお兄さん!
腕から血が出てるよぉー!」
結城が俺の腕を見て、すぐに救急箱を持ってきた。
暁くんは、俺の腕を振り払い、窓から外を見ていた。
「大丈夫なの?」
「あぁ、血はたくさん出てるけど…
そんな痛くない。」
七瀬も心配そうな顔をして俺の腕を覗いてきた。
「暁くん。何があったのですか!?
この傷からしてナイフですよね?
暁くんがしたのですよね?」
水無月は、暁くんに近づいて怒っていた。
暁くんは、そんな水無月を無視して外を見ていた。
「暁くん、聞いているのですか!」
「あぁ、いいって水無月!
たいした怪我じゃないから!」
本当は、めちゃくちゃ痛いけど…
こんなの我慢すれば痛みもいつか消える。



