「退け」
いつもの暁くんじゃない、低い声が俺を威圧してきた。
裏暁くんが出てきたか…
本当にヤバイな…
「行かせない。」
暁くんは、ナイフを俺に投げつけてきた。
ナイフは、俺の頬に掠れてその場に落ちた。
「次は本当に当てるぞ、退け」
「………行かせない」
どんなに暁くんが恐くても…
人を殺すことは間違ってる。
昔、何があったかは知らないけど…
暁くんが人を殺すとこを見たくない。
「………」
暁くんは、鋭い眼で俺を見つめて…
一歩一歩近づき、俺の腕にナイフを刺した。
「…くぁ……っ…!」
「早く退け、俺の邪魔をするな」
俺は、暁くんの腕を掴み笑った。
暁くんは、俺が笑ったことに驚いていた。
「……か…帰ろう…
結城たちが…俺らの帰りを待ってるよ…」
暁くんは、どこにも行っちゃいけない。
暁くんだけじゃない。
結城も水無月も七瀬も離れちゃ駄目なんだ。
誰一人欠けたら駄目なんだよ…!



