男が結城に言った言葉…
『あんたのお兄さん。
俺のボスなんだよね~?
これから、あんたらと戦うかもしれないから、そんときはよろしく。
あと、あんたの親父。
殺したのあんたの兄さんじゃないよ?
もう一回、調べてみたら…?』
結城の親父さんを殺したのは…
結城の兄さんだったはず…
結城の兄さん自体、それを認めていた。
だったら、何故あの男は、あんなことを…
「………はぁ…
もうさ…なんか疲れちゃったよ…
翼は、父さんを殺した。
それを俺は見ているんだ。
なのにさ…
翼は、父さんを殺してない?
あり得ねぇよ…」
結城は、近くにあったイスに座り頭を抱えて笑っていた。
「なぁ、悠真はどう思う…?
父さんを殺したのは、翼だと思うだろ…?」
はっきり言ったら、分からない。
俺は、お前が怒り狂いお前の兄貴を殺そうとしていた現場と…
その場に悲しげな表情で泣いている暁くんが呆然と立ち尽くしていたのしか目に入らなかった。
あのときは、あの状態のお前を止めることしか頭になかったから、他は見ていない。



