結城は、暁くんの料理が不味いと知っているのにスプーンを持ち食べた。
「ん!? 美味しいよ、暁くんっ!」
「…えっ!? 本当ですか、結城さん!」
結城の言葉に暁くんは嬉しそうな表情を浮かべた。
「うん。美味しい!
お世辞じゃないよ、本当に美味しい。
ほら、悠真も弥生さんも食べてみて。」
結城の言葉に、水無月も七瀬も仕方ないって表情でスプーンを持ち食べた。
「あれ…!?」
「普通に美味しいです…」
水無月も七瀬も驚いて何度もオムライスを口に入れた。
でも美味しいというのが分かって、暁くんを褒めていた。
食事を済ませて、皿を運んで片付けていたとき…
「お兄さん、ありがとうね。
味を変えてくれたんでしょう?
すごく助かったよ。」
結城も皿を運ぶフリをして、俺に小声で言ってきた。
「あれは、出せねぇだろ…」
「うん。だから誰も暁くんを台所には立たせないんだよ…
暁くんの料理の酷さを知っているからね…」
もう絶対に暁くんに料理をさせたらダメだ。
料理をさせるなら、誰かが傍にいてあげないと大変なことになる。



