「俺は、こっちの色の方があんたに似合うと思うな…?」
いきなり男の人が私の持っていた口紅を奪って違う口紅を渡してきた。
「ちょっと!なにすんのよ!」
私は、男から口紅を取り返して言ったら…
どこかで見覚えのある顔の男だった。
あれっ…?誰だっけ…
見たことあるような、ないような…
「俺のこと覚えてない?
俺は、あんたのこと覚えてるよ…弥生。」
「呼び捨てにしないでくれる?
私が覚えてないなら、たいした男じゃない。
覚えてない男に呼び捨てされたくない。」
翔ちゃんにも、まだ呼び捨てされてないのに…!
知らない男に呼び捨てされたくない!
「ひどいな…
俺をさんざん飲みに付き合わせといて…
それは、ないんじゃないかな…?」
「飲みに付き合う…?」
「飲んだあと、弥生が潰れたから…
俺が事務所的な場所に運んであげたんだよ?」
事務所に運んでもらった…?
あぁ…思い出した…
置き手紙残したヤツだわ。