「なにしてんだよ、結城。」
「お兄さんっ!」
俺が話しかけたことで、結城は嬉しそうに俺を見てきた。
まるで助けてくれと言っているように…
「逃げ出すから、こういうことになるんだ。
もう逃げないか…?」
「……逃げ出してないもん。
本当にトイレ行こうとしただけだもん…」
結城は、子供のような言い訳をしてきた。
「お姉さん。ちょっと、そいつ返してくれる?」
「……ちっ。」
俺が女の腕を掴んで結城の腕を離すと女は舌打ちをして、どこかに行ってしまった。
「なんで、逃げ出した?
逃げ出しても発信器がついてると知っているだろ?」
「……頼むよ、お兄さん…
俺を逃がしてくれ。俺にはやることがあるんだ…」
結城は、真剣な顔で俺に言ってきた。
「首輪は、どうにかする。
あとは逃げればいいんだ。
頼むよ。お願いだよ、お兄さん…」
「……やることってなんだ?」
俺が結城に言うと…
結城は、下を向いて黙った。
こいつは、何をしようとしてる…?



