「ちょっと可愛すぎませんか?いかにもデートじゃないですか。」
『そう?似合ってるよ〜ギャップあるよ〜。』
普段の私のファッションは基本シンプルでカジュアルなもので、こんな大人っぽい服装はほとんどしない。
そういえば先生と出かけたときも、ラフなシャツワンピースだった。
あのとき先生とチェックが被ったんだよなぁ。
『ほらにやけてるじゃん。』
「にやけてません!」
青井先生と出かけるのに先生のことを思い出してにやけるなんて。
「もうこれ買います。これ着て行きます。」
今先生は関係ない、と小さく頭を振ってほとんど勢いでそう言った。
倫子さんは満足そうに頷いて、私のアクセサリー貸してあげるよとネックレスやら指輪やらを出してきてくれる。
『嬉しいねぇ、明日実ちゃんにそういう相手ができて。』
いいですと遠慮しようとしたけれど、楽しそうに言う倫子さんに何も言えなくなってしまう。
倫子さんは知っている。
私が大学を辞めた理由も、それが原因で心療内科に通っていることも。



