それから青井先生と連絡をとり合うようになった。
話の内容は他愛のないものばかりで、先生の話は出なかったし、私も出さなかった。
相変わらず先生からの連絡はない。
青井先生からは食事の誘いがあって、今日行くことになっている。
男性と2人で食事に行くということに少し迷いがあったけれど行きますと返事をしたのは、やっぱり先生と会えなくなったことが寂しかったからかもしれない。
ふと大学を辞めた頃のことを思い出して、どうして先生と2人で会うことには何の迷いも怖さもなかったのだろうと思う。
安心感。
その一言と先生の隣にいた自分を思い出して、今日青井先生と出かける自分は大丈夫だろうかと不安になる。
ていうかこれって、デートなのかな。
青井先生は店を決めておくと言ってくれた。
青井先生が選ぶ店ってどんなところだろう。
何着て行こう…。
『どこに?』
「え?」
『いや今何着て行こうって言ったから。』
心で思ったはずのことが声になって出てしまっていたことに倫子さんの言葉で気付く。



