『理瀬さんとは最近会ってないの?』
「はい。」
最後に会った日のことを思い出す。
それは最近と呼べるのかもしれないけれど、とっさに隠してしまう。
待っていると言ったのは私だけど、会わなくなってから時間が経つのを本当に遅く感じる。
『何もなかったのなら、俺と会ってても何の問題もないよね?』
「え?」
今日初めて見る、私の記憶の中にあるよく笑う青井先生の笑顔。
少しいたずらっぽくて柔らかい、いかにも人当たりのいい笑顔。
『また会ってくれる?』
「…はい。」
その笑顔につられて気付いたらそんな風に頷いていた。
『良かった。』
だけどホッとしたように笑う青井先生を見られて、同じようにホッとしている自分がいる。
私が浮気や不倫に巻き込まれていないかを確かめるためだけに、ここに来てくれた。
もしかしたらそれは今日だけじゃなかったかもしれない。
先生に直接問い詰めることもできたはずだけど、それをしなかったのは離婚したばかりの先生を気遣ってのことだろう。



