そうだ、私と先生の関係なんてたったそれだけだった。
「先生は浮気なんてしてません。私はただ…少し仲良くしてもらってただけです。」
先生との関係を表す言葉が見つからずに曖昧な言い方になってしまう。
私は先生のことが好きで、きっと先生も私のことを好きでいてくれて。
だけど私たちはそれ以上先へは進めないし、進まない。
私は自分を知られるのが怖いから。
先生はまた同じことを繰り返してしまうことが怖いから。
『それならいいんだけど…。』
青井先生はそう言ったけれど全然納得していないように見えた。
だけどこれ以上追及されたくなくてそっとココアに口をつける。
『滝本さんが理瀬さんと何かあったのかもしれないって思ったら、なぜかいても立ってもいられなくなった。なんでだろうね。でもそれ聞いて安心したよ。』
すっかり冷めたコーヒーに視線を落として話す青井先生をただ見つめていた。



