「まぁモテるしなぁ、青井くんは。」

『何呑気なこと言ってるんですか!』


思ったことをそのまま口に出していた俺に呆れたようなツッコミが入る。



『今回はちょっとややこしくなりそうなんです。告白した子に青井先生がきっぱり断ったらその子が泣き出しちゃって。今別室で、早見先生がなだめてます。』

「へぇ。」


今度はまぬけな声ではなく心の底から早見さんをねぎらう声が出た。

それは本当に、なかなかややこしい話だ。



「でも珍しいよね。青井くん、いつも話が大きくならないように丁重に断るのに。」

『本当ですよね。教官と生徒じゃなかったとしても無理だって言ったらしいです。なんで今回はそんなにはっきり言っちゃったんだろう。』


教官と生徒じゃなかったとしても無理。

確かに、あまりにもはっきりとした答えだ。



『まぁしつこく言い寄られたんでしょう。それくらいはっきり言ってあげないと分からない人もいますから。』


ベテランの教官がそう言ってその輪はほどかれ、まだまだ話したそうなスタッフたちもそれぞれ仕事に戻った。