しばらく会わない方がいいと彼と話してから実際に会わなかった期間は2ヶ月だった。
季節は夏真っ盛りで、連日の猛暑もあってこの2ヶ月は仕事以外ほとんど家から出なかった。
彼との毎日の電話でしばらくあの人の姿を見ていないと聞き、私もあの人の気配を感じることはなかったからもういいだろうと会ったのが今日。
嬉しい、ほっとした、とにかく会いたかった。
だけど、そんな想いを抱いていたのは私だけだった。
『久しぶり。』
「うん。久しぶり。」
画面越しの声だけでは埋められなかった寂しさも、彼に会えばすぐになくなると思ってた。
でも久しぶりに会った彼は髪を黒く染め、見たことがないゆるいTシャツにサンダル姿で、知らない人みたいだ。
きっと少し疲れた顔をしていたであろう私とは違って彼はいつも通り爽やかで、その明るい表情に鼓動は速くなるばかりだった。
それが私に会えたことによる明るさではなくて、出会った頃に見ていた彼の明るさだと気付くのは一瞬で。
一教習生として遠いなと思っていたあの頃の、青井先生がそこにはいた。



