「ごめんなさい。私…もう会わないつもりで…先生がさよならしてくれたのに…幸せでいますって言ったのに…。」
遠慮がちにソファーの隣に座った先生の温もりに、涙が溢れて止まらなくなる。
「あの人が彼の前に現れてから、家族や職場の先輩がずっとついていてくれました。どこへ行くにも送ってもらって、迷惑ばかりかけてることが苦しくて…これ以上面倒かけたくないって思ったら誰にも連絡できなくて…。」
『分かってる。大丈夫だから。』
「先生しか…先生しかいませんでした。だけど後から先生にまで迷惑かけちゃったって思って…。」
でも先生は嬉しかったと言ってくれた。
思い出してくれて嬉しかったと。
その優しさに今どれほど救われているか、とにかく伝えたくて必死だった。
『大丈夫だよ。誰も迷惑だなんて思ってないし、どんどん頼ればいい。』
「先生…。」
『だから、おいで。』
そっと両手を広げた先生の胸に飛び込む。
今日私に起こった出来事の全てから、今ようやく解放されたような気がした。



