白い海を辿って。


「なぁ、どんな理由であれ女性に手を出すことは許されないし、男として1番恥ずかしいことだ。」


椎野さんを後ろに立たせ、岸井の傍にしゃがんだ。

空を見る岸井は何かを諦めているような、今この瞬間にすべてが終わったようなそんな表情だった。



「何で会いに来た?」

『それは…』


ちらと後ろの様子を見ると椎野さんは滝本さんの傍にいて、そこまで聞こえないように小声で聞く。

謝りたいとは言っていたが、それならもっと早く声をかけて謝れば良かっただけの話だ。

ここまで後をつけてきた理由が、何か他にあるような気がした。



『明日実が彼氏と一緒にいて、なんか揉めてるっていうか…彼氏が明日実の手放して帰ってったから…心配で、見てた。』


滝本さんと青井くん、もう会ってるのか。

でも2人が揉めてて、青井くんが滝本さんの手を放して帰ったということが信じられなかった。

今誰よりも滝本さんを心配し、守ろうとしていたのは青井くんだ。