「はぁ~。美味しかった。」
彼が調べてくれていたお店は、海が見えるカフェだった。
ご飯もデザートもオリジナルのドリンクもどれも美味しくて、大きな窓から見える海もとても綺麗だった。
『よく食うよなー。』
「堪能しないともったいないから。」
自分の分を完食した後も彼のケーキに手を伸ばす私とは対照的に、彼はお腹をさすっている。
これ幸いとケーキをお皿ごと引き取ると、なぜか嬉しそうに笑った。
「残すと良くないでしょ。」
『はいはい、どうぞお召し上がりください。』
「ねぇ、」
『うん?』
何気なくといった感じで切り出すと、のほほんとした声が返ってくる。
「ううん、なんでもない。」
『何だよ。』
彼は不思議そうに笑っているけれど、そんなくつろいでいる姿を見ていると話さない方がいい気がしてきた。
彼に向けられていた視線が気になっただなんて。
こんな風に一緒にいられるんだから、それだけで幸せなんだ。



