白い海を辿って。


温まった弁当も風呂も後回しにして、その通知をタップした。


『ご無沙汰してます。
何度か電話をもらっていたのに出ることができずごめんなさい。
お話したいことがあるので、1度お会いできませんか?』


いつだって丁寧だった滝本さんの言葉が、少し遠くに感じた。

本当は少しどころじゃなく、もっともっと遠いところにいるのだけど。


何度も打っては消してを繰り返し、結局“大丈夫です。いつがいいですか?”という感情をはぎ取った一言を送った。

短いやりとりを何度か繰り返し、年が明けてから仕事始めの前に会うことになった。


クリスマス。

2人は一緒に過ごすのだろうな。

何とも思わなかったその日を、急に意識してしまった自分が嫌になる。


レンジから弁当を取り出すと、ずっと忘れていた寂しいという気持ちを思い出してしまった。


滝本さんが隣にいる安らぎを一緒に思い出してしまわないように、濃い味付けのおかずとともにぐっと飲み込んだ。