ふいに手の中でスマホが振動し、驚きで滑り落としてしまう。
ベッドの上に落下した画面に表示されているのはただの数字の羅列。
速まる鼓動を落ち着けようとしばらく画面を眺めていると、ふとその数字に心が揺れる。
この番号、もしかして…
さっきは寝起きのぼうっとした頭だったから思い出せなかった。
だけど今は確かにそうだと言える。
でも、どうして…
どうして今頃連絡がくるのか。
どうして私のスマホは、名前を表示しないのか。
呼吸を整えている内に、振動が止まる。
無視することだってできた。
でも私の手は、鳴り止んだばかりのスマホに手を伸ばしていた。
コンコン
そのとき、ふとドアがノックされて手が止まる。
『明日実?まだ寝てるの?』
「ううん、起きてる。」
『開けるわよ』と言う母の声に立ち上がり、スマホをテーブルに置く。
すぐに折り返せば繋がるはずなのに。
気持ちが引っ張られて、鼓動は速まるばかりだ。



